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大麻から脳科学へ:意外な発見の旅

1980年代末から1990年代初頭、大麻の医療研究はまだその道のりの初めにいました。特にアメリカでは、国立薬物乱用研究所(NIDA)が主導し、大麻の危険性を探る研究に重点を置いていました。この時代の研究用大麻は、ミシシッピ大学でのみ栽培されていたんですよ。

しかし、この研究から予想外の発見が生まれました。1964年には、ラファエル・ミシューラム博士とヤヒエル・ガオニが大麻からTHCを単離し、合成に成功。これが大麻研究の新たな一歩となりました。THCに関する研究が進む中、THCが私たちの脳内でどのように作用するのかは、まだ謎に包まれていました。

1988年には、セントルイス大学の研究チームが、脳内にカンナビノイド受容体が存在することを発見。この受容体は、記憶や感情、食欲など、私たちの日常生活に密接に関わる部位に多く存在していることが判明しました。

1990年代には、脳のカンナビノイド受容体に関するさらなる進展がありました。アメリカ国立精神保健研究所のリサ・マツダのチームが、THCの受容体(CB1受容体)をクローニングに成功。そして1993年には、免疫系に関わる第二のカンナビノイド受容体(CB2受容体)が発見されました。

この時代の研究は、大麻の医療的な可能性を深く掘り下げると同時に、私たちの脳の働きについても新たな光を当てました。大麻研究がもたらしたこの驚きの発見は、脳科学の分野における新しい章の始まりを告げるものでした。これらの発見は、さまざまな病気の治療法の開発に影響を与え、大麻研究の可能性を新たな視野で考えるきっかけとなりました。

著作者:storyset / 出典:Freepik